Blu-ray、SDカード、ゲーム機、etc...
デファクトスタンダードな規格は如何にして決まるのか
コンピューター周辺には常に規格争いがある。ベータとVHS、Blu-rayとHD-DVD、XBOXとPS、デジカメやビデオにおける記憶媒体(コンパクトフラッシュ、SDカード、etc.)など、これまで数々の規格が乱立してきた。
しかしながら互換性のない製品が両立することはなく、大抵の場合どちらかが淘汰される運命にある。VHSの前に散ったベータや撤退に追い込まれたHD-DVDなど、性能自体は決して競合に劣るものではなかったものの生き残ることはなかった。40種類以上あったフラッシュメモリの規格はことごとく消滅し、今やSDカードに統一されつつある。
こうした規格争いは、どのようにして勝ち負けが決まるのかを考察したい。
ここで、互換性のない2つの規格A, Bを考える。両者は性能、機能、価格が全く同じであり互換性だけが存在しないものとする。さて、すでにAからは100のコンテンツ、Bからは200のコンテンツが出ている。またBの200の中にはAのコンテンツ100が含まれている。一般客にとって、AとB、どちらが魅力だろうか?
当然、コンテンツの多いBである。よってBのデッキが売れる。
ここで、売り上げを見てみよう。Aの売り上げは10万台、Bの売り上げは100万台である。映画制作会社の立場になった時、より多くの売り上げを得るためにはAとB、どちらで売り出すべきだろうか。
当然、顧客の多いBである。よってBのコンテンツが増える。
このようにして両者の差はどんどん広がっていく。
こうしてみると、一度売り上げやコンテンツ数に差が出た場合、巻き返しはほぼ不可能だということがわかる。両者の勝敗を分けたのは最初のわずかの差、ほとんど市場の気まぐれみたいなものであろう。「Blu-rayがわずかに優勢」と報道された時点で、すでに勝負が決まっていたのだ。
唯一、例外を作れるとしたらマスコミの存在である。世界中でどちらが売れているか、という統計を取るのはそれほど簡単ではないだろう。優勢を宣言してしまえば、例え嘘でもそちらが売れてしまい、結果、嘘を本当にしてしまうだけの力を持つ。従ってマスコミを買収できれば実はそれが一番効果的だ。
なお、露骨にやると「風説の流布」「偽計業務妨害」などにあたる可能性がある。裏を返せば、法で禁じなければならないほど強烈な手段だともいえる。