パソコン自作部屋


「ワイド」ディスプレイの謎

少し前までは縦横比で4:3が主流だったが、最近は16:9が主流になりつつある。いわゆるワイドタイプという奴だ。素直に受け取るなら「横長」ディスプレイのはずだが、ここに錯覚が存在する。

2000年代前半の標準

10年前のディスプレイを振り返ると、解像度が [1024*768] と [1280*1024] の2タイプがメインだった。 [1600*1200] という上位タイプも登場し、出た当初は高価だったものの順調に値下がりし、もう少しで気楽に手の届く商品になりかけた。その頃には [1024*768] はほぼ消滅し、 [1280*1024] か [1600*1200] もしくはその中間タイプの [1440*1050] などが少々存在する程度だった。

「ワイド」ディスプレイの登場

しかし、もうしばらくすると奇妙なことが起こる。 [1280*1024] がそろそろ消えるかという頃になって出た新製品が [1440*900] というタイプだった。解像度が [1280*1024] より小さいディスプレイが「新製品」として登場したのである。なぜ今更このような小型ディスプレイが…と疑問に思わなければならない。しかし縦に短い分だけ横の長さが際立つため、「おお!横に長い!」として好意的に受け入れられた。目の錯覚の利用である。当時すでに [1600*1200] がスタンダードになりつつあったことを考慮すると、縦に縮めただけでなく、横にすら短くなっているのである。以前カメラで、レンズの上下を隠して撮影しておいて、現像段階で拡大コピーする「パノラマモード」なるものが存在したが、それとやってることは同じである。

再び大型化?

最近では [1920*1080] がメインストリームになってきたため、ようやく縦の長さも10年前の標準を取り戻したことになる。 だがディスプレイの進化速度を考えると、この「縦短化」がなければ今頃 [2000*1500] が標準だったとしてもおかしくはない。 インチキワイドがディスプレイの進化を遅らせたのだ。

ノートパソコンへの影響

ノートパソコンもなかなかひどい。元々は [1280*1024] が主流だったが、ネットブック(主流は [1024*600] )などの影響で小型タイプやCULVなどと呼ばれる安物が乱立した。しかしそういった乱立が終わってみると規格は [1366*768] に統一されており、これもまた [1280*1024] に比べると解像度がかなり減っているのだ。ただしノートパソコンの値段自体が下がったというのもあり、従来のメインストリーム価格(10万程度)に着目すれば、[1920*1080] なども手に入る。