科学雑話


数学的帰納法を使った数々の証明

高校時代に流行ったネタです。知恵をつけはじめたクソガキ共の犯行。

高校で習う「数学的帰納法」をさらっと説明します。

(1) i=1 の時、定理Aが成り立つ。

(2) i=n の時、定理Aが成り立つと仮定した時、i=n+1でも定理Aが成り立つ(ただしnは任意の自然数)。

(1)(2)が成り立つ時、数学的帰納法により定理Aは任意の自然数 i で成立。

これだけではイマイチなので例を使って説明します。

バリ数学バージョン

任意の自然数 i に対し、A(i+1) = A(i) + 1 を満たす行列Aを考える。ただし A(0) > 1 とする。

定理B:任意の自然数 i に対し、A(i) > 0 が成立。

(1) i=1の時、A(1) = A(0)+1 > 0。 i=1 において定理Bは成立。
(2) i=n の時、定理Bが成り立つと仮定すると A(n) > 0。この時、A(n+1) = A(n)+1 > 0。i=n+1 にておいて定理Bは成立。
(1)(2)から、数学的帰納法により定理Bは任意の自然数 i で成立。

感覚派バージョン

将棋のコマを倒さないよう無限に並べます。

定理C:将棋倒しでは、最初の1個を手で倒せば 後ろにある将棋も全部倒れる。

(1) 1個目は手で倒すので倒れる。 i=1 の時、定理Cは成立。
(2) n個目の将棋が倒れれば、次のn+1個目の将棋も倒れる。 i=n で成り立つ時、i=n+1 でも成立。
(1)(2)から、数学的帰納法により後ろにある任意の将棋が倒れる=全部倒れる。

実例

さ~て ここまでわかりましたか? わからなくても全然問題ありません。とにかくこの「数学的帰納法」使って今から色々証明してみせます。

乞食の戦術
(1) 人から1円ぐらいなら何とかもらえる ( i = 1 で成立)
(2) 金をくれるという人から、もう1円ぐらいなら余分にもらえる (i = n で成立する時、i = n+1 でも成立)
(1)(2)より、人からいくらでも金をふんだくれる
極限電車
(1) 電車に一人、乗ることはできる ( i = 1 で成立)
(2) 「もう限界」と思っても、がんばればもう一人ぐらいは乗り込める (i = n で成立する時、i = n+1 でも成立)
(1)(2)より、電車には無限に乗り込むことが可能
ハゲの帰納法
(1) 髪の毛1本しかない人はハゲである ( i = 1 で成立)
(2) ハゲてる人が、1本ぐらい髪の毛増やしてもハゲはハゲである (i = n で成立する時、i = n+1 でも成立)
(1)(2)より、髪の毛何本あろうと、人類みなハゲである
月面着陸
(1) 本を1個、床に置く ( i = 1 で成立)
(2) たくさん積んである本の上にもう1個、倒れないように積み上げる (i = n で成立する時、i = n+1 でも成立)
(1)(2)より、本をたくさん積み上げて 月まで到達!!