科学雑話


マックスウェルの悪魔

いきなりですが、問題です!

問1

今、箱の中に20個のボールが入っているとします。10個は赤いボール、10個は青いボール。箱の中は見れないとして、ボールを10個取り出しました、全部青いボールである確率はいくつでしょう。

計算機を使おう!

(10/20)×(9/19)×・・・・(1/11) = 3628800/670442572800 = 0.00000541・・・

うん、とっても低いですね。では次の問題。

問2

よく弾むボールが1000個あります。これを広い部屋に思いっきり投げ込みます。さて、ボールを全部投げ入れたとき、全てのボールが部屋の右半分に寄っている確率はいくつでしょう。

これはもう関数電卓が必要だ…

(1/2)^1000=0.00・・・(0が300個ぐらい)・・・0001

途方もなく小さいですねえ… では次が最後の問題ですよ。

問3

ある部屋の中に1mol(6.02×10^23)個の空気分子が入っています。ある時点でこの部屋を左右に分けました。さてこの時、部屋の右半分が真空である(つまり空気分子がない)確率を求めなさい。ただし粒子間の衝突などは無視してよい。

ありえねーーーーーー と普通は思いますね。きわめて小さいことは確かです。でも0じゃないんです。

(1/2)^(6.02×10^23) 0

だとすると・・・ある時、突然部屋が真空になる可能性がある!そう、ありうる話なんです。こうした奇怪な現象のことをマックスウェルの悪魔の仕業であると言います。

これを応用すると、いくらでも「怪奇現象」を起こせます。例えば、ここに本があります。空中で手を離します。この時、この本の上から当たる空気分子が偶然存在しなかった場合・・・下から1気圧の力を受けるので何もしてないのに勝手に本が浮き上がります*。まさに悪魔の所業と言えますね。

*その前にバラバラになりそうですが