科学雑話


タイムマシンは作れるか

科学に基づいてタイムマシンを作れるかを考える時、よく登場するのがタキオンという粒子である。

STEP1

特殊相対論によると、物質をいくら加速しても光速を超えない。もし超えてしまうと、その物質は時間を逆行するなどの現象がおきてしまう。しかし・・・普通の物質を加速するのではなく、「最初から光速を超えている」粒子を考えたらどうだろうか。実は、この場合は相対論に矛盾しないのである。この「最初から光速を超えている」粒子こそ、タキオンである。もしそう言ったものが存在すれば、うまく利用することで時間を逆行できるかもしれない。しかしながら、このようなものを仮定すると、質量が虚数になるなど、真っ当な粒子ではないことがわかる。このようなもの、本当に実在するのだろうか・・・

STEP2

さて、回答は・・・タキオンは存在してもかまわない。しかし、タイムマシンは作れない。まず、タキオンという考えは特殊相対論から出てきたものである。その特殊相対論の根本原理に着目してみる。

1:光速度不変の原理

走っている人から見ても、止まっている人から見ても光速は一定に見える、という原理

2:相対性原理

走っていても、止まっていても同じ物理法則が当てはまる、という原理。基本的にはこの2つだが、もう1つ明記されない前提が存在する。

3:因果律を崩さない

結果に対して必ず原因がある。過去が現在に影響し、現在が過去を変えることはない

最後の前提とは すなわち「タイムマシンは存在しない」ということである。相対論は「タイムマシンが存在しない」ことを前提に作られた理論なので、相対論によって「タイムマシンが存在する」ことが証明されることはありえない。もし証明できたとしても、それは自己矛盾であり、相対論が間違っているというだけである。

STEP3

では、相対論でタキオンの存在をどう説明するのだろうか。まず一つ目は、「タキオンなんぞ存在しない」としてしまう手もある。式の解としてそういった物も存在してしまっただけで、現実を表しているものではない、という可能性もある。

でももう一つ逃げ道がありまして・・・。タキオンは存在してよろしい。でも通常の物質と相互作用しない。こうすると、タキオンは過去に行けるが、情報を伝えることは出来ない。したがって因果律を崩すことはない。

つまり、どっちにしてもタイムマシンは無理ってことです。つまらん結論ですいません。