パソコン自作部屋


NVIDIA VS ATI(前編)

CPUがIntelとAMDの2強なら、GPUはNVIDIAとATIの競争が熱い。これまでの戦いを独断と偏見を交えて振り返る。なお便宜上、RadeonはAMDではなくATIで統一する。AMDのRadeonなんて知らん

新王NVIDIAと追随するATI

時は2000年、ビデオカードの群雄割拠は終焉を迎え、生き残ったのは「旧王者」3dfxを完膚なきまでに叩き潰したNVIDIAだった。3dfxはNVIDIAによって買収され、以来NVIDIAはビデオカード業界のトップに君臨し続けてきた。一方、NVIDIAの影に隠れつつも地道に勢力を伸ばしている存在があった。Rage改めRadeonという名のビデオカードを作るATIである。

ラグナロクをはじめとするネットゲームを口切りに、FFXIやリネージュIIといった重いゲームがリリースされたことで、ビデオカードの需要が高まり、それに後押しされる形で順調にシェアを獲得していった。特にFFXI用としてGeforce 4 Tiシリーズが人気だったという。

両者が最初に激突したのはGeforce FX VS Radeon 9xxxである。Geforce 4 Tiで成功を収めたNVIDIAだったが、Geforceシリーズ初の「大失敗作」と言われるFXシリーズで完全に停滞した。一方で好調だったATIは、Radeon 9xxxシリーズをリリースしたことで完全に性能が追いついたとされる。ここにGeforce対Radeonという構図が確立する。

好勝負、再び

その後、窮地を脱したNVIDIAは「FXシリーズの3倍の性能」と豪語する Geforce 6xxx系をリリースする。特にミドルレンジの6600GTや、エントリーハイエンドの6800GSが人気を博した。一方RadeonはXxxxシリーズをリリースするも、あまり振るわず、Geforceの影に隠れた状態であった。

二度目の対決は6xxx系を改良したGeforce 7xxx系と、Radeon X1xxxシリーズである。Geforceはハイエンドに7800GTXと7800GTをリリース。一方、これに完全に対抗する形でRadeonはX1800XTとX1800XLを用意する。この対決はネットや雑誌などのメディアで大々的に取り上げられた。さらにこれの修正版として、Geforce陣営は7900GTX、7950GT、7900GSをリリースする。一方これに対してもRadeonはX1900XTX、X1900proといった製品をリリースする。これらの頂上対決も非常に熱かったが、ヒットしたのは比較的扱いやすい7900GSや、発熱は大きかったがコストパフォーマンスの良いX1900proであった。

G92コアの栄華

2度目の好勝負はGeforce 8800GTX(G80コア)の登場によって終焉を迎えた。従来とは全く比較にならない性能を誇るこのカードの前に、過去のカードなど全てゴミ同然と化した。最終兵器X1900XTXすらゴミ化したRadeonは、8800GTXに対抗できるだけの新カードが必要だった。急ぎリリースされたのがHD2900XTだったが、明らかに8800GTXに劣る上に消費電力が常識外れという、どう考えても負けカードだった。ちなみに、自分の知る限りではこのカードが初の200W越えを果たした製品であり、いよいよビデオカードを暖房として再利用したくなってくる。

Geforceはその後もエンスー(狂信者)向けの8800Ultraなどを順調にリリースする。ミドルの8600シリーズはいまいちだったものの、Radeonのミドル・HD2600シリーズもやはりいまいちだったために、それほど問題ではなかった。むしろ旧製品の7900GSがミドルを補う形として根強く残ったりもしていた。

その後、G80を改良したG92というコアが作られる。これはG80を超える超優良コアであり、ある程度性能を抑えたはずの8800GT(G92)が上位の8800GTS(G80)よりも性能が逆転してしまうという、いい意味で困ったことが起こったほどである。なお、GTSがGTより下では困るということにより、G92コアを使った8800GTSが再度リリースされる。これは正真正銘8800GTよりも上の製品であり、新旧混じって混乱するというデメリットはあったものの、その高い性能と扱いやすさから歓迎された。

NVIDIAとしてはこの超良コアを生かさない手はない。すぐさまミドルレンジにも製品を展開する。特に脚光を浴びたのが「最強のミドルレンジ」9600GTである。レビューページでも、「従来のミドルは性能が低くて使い物にならなかったが、9600GTはその常識を打ち破った」など超絶賛された。なお比較的どうでもいいことではあるが、8000番台の製品名はすでに多く存在しているため、ミドル以下のG9xコアの製品は9000番台に展開された。これにより8000番台にはG80系とG9x系が存在し、9000番台はG9xコアという状況になる。